浄化槽法定検査
浄化槽法では、浄化槽の適正な設置と維持管理を確認する必要性から、全ての浄化槽に対して「法定検査」を受けることが義務づけられています。
■
検査の種類
法定検査には、設置後等の検査(第7条検査)と定期検査(第11条検査)があります。
1)7条検査(1回のみ)
浄化槽を使い始めて3ヶ月後から5ヶ月以内に行います。浄化槽の工事が適切に行われ、正常に機能しているかの確認を行う「設置後等の水質検査」です。
※当財団では使用開始後3ヶ月で実施しています。
2)11条検査(1年に1回)
浄化槽が正常に機能し、その水質が確保されているか、また、日頃の保守点検や清掃などの維持管理が適正に行われているかを確認する年1回の「定期検査」です。
■
検査の概要
外観検査は、浄化槽本体、配管設備、浄化槽の各単位装置について、設置や構造の状況、稼動の状況、
水の流れ方の状況、使用の状況などについて検査します。
1)外観検査(設置状況・設備の稼働状況)
外観検査の一例
※かさ上げ30cm未満 (保守点検時に、槽内の確認や作業等に支障を与えないためです)
※ブロワー架台の設置 (雨天の場合に、雨水により漏電等を防ぐために送風機の位置を高くしてあります)
※臭突管立ち上げ用の配管 (臭気が発生した場合に、配管を立ち上げ換気扇を取り付けるための配管です)
2)水質検査(浄化槽の処理機能)
水質検査の項目と内容について
pH
pH7付近を中性、これより数値が低い場合は酸性、高い場合はアルカリ性です。処理水のpHが著しく
中性から外れている場合は薬品等の流入が考えられます。ただし、処理が進行している場合は、薬品等の
混入がなくても酸性となる場合があります。望ましい範囲はpH5.8~8.6です。
DO
水中に溶けている酸素の量を表します。浄化槽内にて微生物の活動に必要な酸素量が保持されているかの
指標になります。
送風機や攪拌装置の不良、流入不可が高い場合などは低下し、生物環境の悪化を招くとともに処理機能に
影響を与えます。
望ましい範囲は浄化槽で1.0mg/L以上 みなし浄化槽で0.3mg/L以上です。
透視度
処理水の透明の程度(見た目の水のきれいさ)で色や濁りの影響を受けます。処理水が透明であるほど
透視できる深さが長くなり良好になります。反対に色や濁りがあれば透視度は小さい値となります。
BODとの相関が高いといわれています。
残留塩素濃度
浄化槽法では衛生上の安全確保のため処理水の消毒が義務付けられています。浄化槽で処理した水に
塩素消毒をかける主な方法です。
残留塩素は、塩素消毒の結果水中に残っている有効塩素をいい、消毒効果を示す指標になります。
処理水に有機物質やアンモニアなどが多く存在すると、塩素が消費され残留塩素が検出されない場合があります。
大腸菌群数を3000個以下に減らします。
BOD
処理水中に含まれる汚れの度合いを表し、生物化学的酸素要求量といいます。数値が高いほど
水中の有機物が多く汚れている事になります。
浄化槽の種類によってBODの処理目標水質が定められており、処理機能を判断する上で重要な指標になります。
3)書類検査(保守点検・清掃の記録)
浄化槽法に基づいた保守点検および清掃の記録が保存されているか、記録の内容に不備がないか、保守点検や
清掃回数に不足がないかを確認し、維持管理が適正に実施されているかを検査します。
■評価および判定について
上記検査項目の詳細について以下の三段階で評価します。
○(良) 望ましい状態にある場合や、異常が認められない場合です。
△(可) 一部望ましくない状態や軽微な異常が認められ、通常の維持管理や使用方法の改善で回復が
可能な程度で、処理機能に影響を与える恐れが小さい場合です。
×(不可) 望ましくない状態または異常が認められ、処理機能に影響を与える恐れが大きい場合です。
上記検査項目の評価を総合して以下の3つに判定します。
【適正です】
浄化槽の構造、設置、維持管理に問題がないときです。
【おおむね適正であり一部改善を要します】
浄化槽の構造、設置、維持管理に一部改善が必要な場合。また今後の経過観察を注意して行う必要が
あるときです。
【不適正であり改善を要します】
浄化槽の構造、設置、維持管理に法令や諸基準に違反している場合。構造、設置では具体的に槽内の破損や
漏水により処理機能および公衆衛生上支障を与える場合です。処理水質の著しい悪化が認められる場合も
改善を要します。
☆環境省【浄化槽サイト】はこちら